りく・なつ防災コラム

ペットの性格に合わせたしつけや防災対策を考えよう!①神経質・臆病な子 編

防災対策

災害が起きた時に備え、日頃からペットのしつけをしておくことは非常に重要です。しかし、すべてのペットに同じ対策が有効なわけではありません。性格によって対策しておくことはさまざま。今回から3回に分けて、ペットの性格別の防災対策やしつけについて解説します。

神経質・臆病な「うちの子」のために

「ちょっとの物音で震えてしまう」「知らない人が来るとすぐに隠れてしまう」

環境の変化や非日常的な刺激に弱い神経質で繊細な性格を持つ子や、臆病なペットと暮らしている飼い主さんは、「もしも災害が起きたら、パニックになってしまうのでは?」という人一倍大きな不安を抱えているのではないでしょうか。

地震の大きな揺れ、火災の煙、避難所での見慣れない人や音。私たち人間ですら恐怖を感じるこうした事象は、ペットにとっても想像を絶するストレスになります。特に臆病で神経質なペットにとっては、さらに恐ろしさを覚えてしまうかもしれません。こうした性格の子にとっての最大の防災対策は、「慣れ」と「安心できる場所」の準備です。

いざという時を乗り越えるための具体的な準備と訓練方法をご紹介します。

慣れが一番の防災対策!「安心できる場所」を作ろう

神経質・臆病な子にとって、最大のストレスは「予想外の変化」です。災害時の急な環境変化に備えるためにも、まずは「ここなら大丈夫」と思える場所を自宅に作ってあげることが重要です。

安心できる場所(セーフティースペース)の作り方

これは、避難時に使うキャリーケースクレートを活用して行います。

ステップ1:ケージを常設し、安心感を植え付ける

  • ケージやキャリーケースをリビングなど普段過ごす場所に置いておき、扉を開けたままにしましょう。
  • お気に入りのおもちゃや、飼い主さんのにおいがついた毛布を中に入れておき、「怖い場所ではない」という認識に変えていきます。

ステップ2:ポジティブな経験を積み重ねる

  • 中に入ったときに、特別なおやつやおもちゃを与えるなどして、良いイメージと結びつけます。
  • 少しずつ中にいる時間を増やし、慣れてきたら扉を閉める練習を短時間だけ行いましょう。

持ち運びに使用するキャリーケースやクレートを「安心できる場所」として覚えさせておくと、避難先でも「自宅のにおいと安心感」を提供する、最も重要な防災グッズの一つになります。

災害時のストレスを減らすための「非日常」トレーニング

災害時には大きな音や見知らぬ人間や他のペット、においといった「非日常」の刺激が一気に押し寄せます。日頃からこれらのストレス要因への耐性を少しでも高めておく訓練が、命を守る行動につながります。

訓練1:音と匂いに慣れさせる

  • 音に慣れさせる訓練: 普段から、テレビで少し大きめの音や、賑やかな場所の音などを低い音量から聞かせる練習をします。ペットがリラックスしているときに少しだけ流し、パニックになる前にやめることが大切です。
  • 匂いに慣れさせる訓練: 無理のない範囲で、知らない人のにおいがついたタオルなどを嗅がせる練習や、知らない場所へ連れて行く行動を行うことも、避難所でのストレス軽減につながります。

訓練2:だっこ・リードに慣れさせる

神経質な子は、パニックになると逃げようとして、リードやキャリーケースに入れることを嫌がることがあります。

  • だっこ・接触の訓練: 日頃から全身を触られることや、優しくだっこされることに慣れさせ、「触られる=安心」という認識を持たせましょう。
  • リードでの散歩訓練: 慣れない場所でも、リードをつけた状態で飼い主さんのそばを落ち着いて歩けるよう、少しずつ練習しておきましょう。

避難時に役立つ!「神経質・臆病な子」専用の防災グッズ

一般的な防災グッズはもちろん、神経質・臆病な子の特性に配慮した「メンタルケア」のためのアイテムを備えておきましょう。

  • ケージを覆う布・タオル: 避難所など見慣れない場所で目隠しとして使用することで、外界の刺激を遮断し、落ち着かせることができます。普段から使っている、においのついた毛布が最適です。
  • 長期保存できるお気に入りのおやつ: 避難時に食欲が落ちた際にも、食べてくれる可能性が高いおやつを準備しておきましょう。
  • 災害時連絡カード: もし離れてしまっても、ペットの性格や性質、かかりつけの病院を伝えるためのカードを常備しておきましょう。
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焦らず、ゆっくりと。今日から始める防災対策

神経質・臆病なペットとの防災対策では、ペットにストレスを与えないことが大切。無理せず、焦りは禁物です。訓練はすぐに身につくものではありません。飼い主さんと二人三脚で、少しずつ時間をかけて行いましょう。

重要なのは、「うちの子」のペースを尊重し、絶対に無理をさせないこと。「安心できる場所」づくりから、今日、できることからゆっくりと始めてみませんか。その小さな一歩が、あなたとペットの命を守る大きな力になります。

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